研修医案内(産科・婦人科)

泉州広域母子医療センター設立の経緯

2006年頃の泉南地区は産婦人科医療が崩壊寸前にありました。その当時は以下のような問題点が挙げられました。

1.新医師臨床研修制度の影響を受けて、公的病院における産婦人科を含む全国的な医師不足の中、りんくう総合医療センター及び市立貝塚病院の産婦人科に医師を供給する大学側が支えきれなくなってきたこと。

2.産婦人科医を継続的に供給していくには、疲弊する産婦人科医の勤務環境及び待遇の改善が必要であること。

3.全国的にも周産期施設が減少していく中、地域の安心安全な分娩を確保するため、集約化に加えて重点化を図る必要があること

図:泉南地区と施設の概要

これらの問題点を解消するため、近隣市町村(貝塚市・泉佐野市・泉南市・阪南市・熊取町・岬町・田尻町)が協力して産婦人科医療の安定的確保に乗り出したのがこの泉州広域母子医療センターです。既存の施設をできるだけ活用し、婦人科医療センターと生殖医療センターは市立貝塚病院に、産科医療センターと新生児医療センターをりんくう総合医療センターに置き、当直は2名産科医と1名の小児科医がりんくう総合医療センターで行なうことになりました。
写真:集約化を伝える新聞(朝日新聞 2007.10)
また、上記四市三町が分担して協力金を出し、生殖医療センターやNICUの整備や周産期医療にかかわる人員の待遇改善(例えば当直料の値上げ・分娩手当・救急外来手当)に充てることになりました。

それに伴い、我々も以下のような取り組みを始めました。


■救急体制の整備
・隣接する救命救急センターとのコラボレーション
・放射線科(IVR)や内科・外科などとの連携強化


■研修体制の整備
・専攻医は泉佐野(産科)貝塚(婦人科)を半年毎にローテーション
・専攻医の新生児科ローテーション(2~3ヶ月。場合により救急センター・麻酔科コースもあり)

2008年8月ようやく体制が整い、地域の中核病院として現在のシステムがスタートしました。

写真:橋下大阪府知事、新田谷泉佐野市長らが訪問 2008.8



成果と現状

婦人科医療センター

婦人科は市立貝塚病院で対応しており、大阪南部の婦人科癌、子宮筋腫、良性卵巣腫瘍、子宮脱、子宮内膜ポリープなど、開腹手術、腹腔鏡手術、膣式手術、子宮鏡下手術など多岐にわたる手術を行っています。また、放射線治療や多種にわたる抗癌剤治療もおこなっています。

実績について詳細は、 市立貝塚病院 産婦人科ページ「実績」をご覧ください。



生殖医療センター

現在休止中

生殖医療センター休診のお知らせ>>



産科医療センター

写真:泉州広域母子医療センター産科医療センターはより高度な周産期医療を目指し、正常分娩から高度な集学的治療が必要な妊婦まで全てを網羅できるように努力しています。正常分娩からハイリスク分娩、急性腹症の一次救急から救命センターとコラボして三次救急まで、と幅広く研修できます。また、産婦人科認定医の資格取得だけでなく、当院は周産期・新生児学会の指定研修施設でもあり、周産期専門医取得が可能な数少ない病院の一つでもあります。

また、当院は大阪府医療人キャリアセンター( http://www.gh.opho.jp/hospital/osaka/omscc/5/2.html )の周産期コース協力施設です。

  2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
分娩数(含死産) 810 807 845 624 640
多胎/早産
(25週500g以上OK)
17/142 14/139 19/92 21/86 12/88
帝王切開 195 181 201 177 129
時間外婦人科手術 40 44 36 28 39
その他の産科手術 3 5 4 6 9
合併症妊娠 468 471 511 317 345
母体搬送受け入れ 139 141 155 183 129
時間外救急 1,577 1,602 1,282 1,072 956
救命救急センター症例 24 19 21 13 44

また、分娩は年平均1100件あり、ハイリスク分娩がほぼ50%あります。但し、夜間でも休日でも上級医がいる2人当直制なので、判断に困る症例はその場で相談する事が出来ます。また、帝王切開は最初の半年以内にオペレーターが出来るように指導します。



一次二次三次救急

グラフ:生殖医療センター実績

当科のもう一つの特徴は、産婦人科一次救急の受入です。これも年間に約1100件の休日時間外救急を受け入れており、卵巣嚢腫の茎捻転や子宮外妊娠など緊急手術になる症例はその5%程です。

大量出血や子癇など、母体救命は年30件以上受け入れています。

大阪府泉州救命センターと共同で、ショック・意識消失・外傷の妊婦の治療に当たります。泉州救命センターとコラボレートした症例は年平均12例程度で、交通事故による多発外傷・頭蓋内出血・周産期心筋症・急性重症薬物中毒・心肺停止症例・敗血症などの全身管理と高度な集学的治療を必要とする症例を救命センターと共同で一丸となって対応し、良好な成績を挙げています。その他ドクターヘリを用いた広域搬送に対応するなど、泉州だけでなく広い地域からも産科救急の受入をしています。



写真:一次二次三次救急



セミナー・研修

当科では産婦人科手術・分娩手技の習得のために院内セミナーを開いています。また、日周産期・新生児学会の薦める新生児蘇生講習会( http://www.ncpr.jp/ )の専門コースを院内で年4回開催しており、専攻医全員1年目からの専門コース取得を目標としています。更に、ACLSやALSO(Advanced Life Support in Obstetrics http://www.oppic.net/) を全面支援しています。

写真:セミナー・研修


勤務体制

 婦人科 (市立貝塚病院) 週間スケジュール

 

~8:45
術前症例検討会
回診
8:45~17:15
病棟処置
手術
外来
手術
病棟処置

17:15~

 
症例検討会
     


 産科 (りんくう総合医療センター) 週間スケジュール

 

~8:45

検討会
回診
検討会
検討会
回診
検討会
抄読会
検討会
回診

8:45~17:15

病棟処置
手術
外来
病棟処置
手術
外来
病棟処置
手術

17:15~

 
胎児カンファ
     


業績

市立貝塚病院 実績

市立貝塚病院 業績については、 市立貝塚病院 産婦人科ページ実績「論文・研究等 産婦人科業績」をご覧ください。




りんくう総合医療センター 実績(2021年度)









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